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カンヌ映画祭の文化庁・ユニジャパン・ジェトロのジャパンブースにみる国際舞台における映画行政とロケ誘致の問題

もし、目まぐるしく変動している映画産業の国際舞台において、そこがどんな場所なのか認識せず、毎年予算を執行するだけの感覚の日本政府が日本代表として現地で「ジャパン」の看板を掲げていたら?

もし、毎年行なわれている主要国際映画祭など世界のイベントにおいて、日本代表の映画産業の窓口を自国の映画産業の発展の為の取り組みの認識すら持たない人間が行なっていたら?

もし、そんな日本代表が存在していたら、日本が獲得すべき映画産業の雇用、未来に繋がるプロダクション経験は他国への流出し続け、日本の立場を著しく損ねる原因となる。

しかし今述べた「もし」は決して仮定ではなく、何年も続く日本の映画行政の姿である。

2014年のカンヌ映画祭・フィルムマーケットに参加した。

カンヌフィルムマーケットにはインターナショナルビレッジ(国際村)といって、様々な国がパビリオンやブース設けている。

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国が出展しているパビリオンやブースの最大の目的、役割とも言っても過言でないことは自国へのプロダクション誘致である。

日本も毎年文化庁から事業委託されたジャパンブースなるものを出展している。

今や外国からの産業投資の獲得、自国の雇用創出プロダクション誘致こそ各国共通の最大の国家課題で、色々な国が地元プロデューサーと海外プロデューサーの交流の為のネットワーキングパーティを開いたり、ロケ誘致や共同製作についてのセミナーを開催している。

また、こうした場所にはロケ誘致に精通した担当者が待機し、政府のインセンティブをはじめとする制度や、撮影ガイドブックなどの配布している。

カンヌ出発前にはプロデューサー宛にこういった様々な国からカンヌでのイベントの招待状が次々届く。

私もインド政府から招待状が届き、ネットワーキングのカクテルパーティに参加した。

会場にはインド人プロデューサー、監督達がいて、「インドロケの相談なら何でも言ってくれ」とインドへのプロダクション誘致のための交流をしていた。

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会場には共同製作協定があるインドーフランス共同製作のヒット映画「めぐり逢わせのお弁当」のフランス人プロデューサーとも出会うことができた。

彼からは「製作費の20%還元制度があるフランスで是非映画を撮ってよ」という民間交流もあった。

また別の日、オーストラリアのプロデューサーとのミーディングを行い、その場所はオーストラリアの政府系映画行政機関Screen Australiaのオフィスであった。

各国から集った映画人が自国のブースを使うのは当然の常識である。

またフィルムマーケット参加者全員に配られるバッグには、パナマフィルムコミッションが自国の15%現金還元のインセンティブを宣伝した傘を提供していた。

この時期雨の多いカンヌで雨が降れば、この傘が会場に溢れることになる。

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こういったように海外の主要映画祭やマーケットでは、世界的にみても国家戦略としてプロダクション誘致が盛んに行なわれいる。

すなわち映画ロケ誘致とは国際舞台でこうした激しい国際競争の勝つ必要がある案件である。

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