カテゴリー別アーカイブ: 映画制作プロジェクト

映画と著作権:「その映画は本当にあなたのものですか?」

「その映画は本当にあなたのものですか?」「証拠は?」

自分で創ったものが無断使用され、しかもその違反者は明らかに自分の物でないものを知りながら、自分の権利を主張されたらどうすればいいのか?

著作権法は国際規模で認められるが、いかがわしい法律解釈を利用しモラルに反した違法使用が法的に認められてしまう現状も存在する。

これはちょっとした個人体験で痛感した。

前回映画を製作した際、アメリカ人のクルーを雇った。彼は契約書を交わし、全ての報酬を支払った。ある日、映画公開の8ヶ月前、インターネットの動画投稿サイトにあきらかに映画撮影時の原盤映像が使用された複製物があるのを発見した。これは撮影中、もしくはその後に映像を持ち出し複製された動かぬ証拠でもあった。

この事件の数週間前には彼のパートナーでもある監督が同様の違反を犯したのをうけ、クルー全体に「いいだろうではなく、プロダクションの許可を必ず伺う様にして欲しい。できるだけプロダクションはあなたのキャリアのために協力はするから」と注意勧告をだしたばかりのできごとでもあった。

動画投稿サイトはすぐに著作権違反通告に応じ動画を削除したが、そのクルーは「日本から法的措置ができないだろう」とばかりに違反通告を無視し、動画使用を続けた。さらに、第三者へその違法映像を提供し、その第三者も現在まで違法動画と知りながら使用を続けてる。

第三者に電話抗議をした後おどろくべきことを聞かされる。「その映画は本当にあなたのものか?」「アメリカ著作権局の登録書はあるのか?」こちらはあるだけの証明をおくったが、すべて無視された。では「あなたのウェブサイトのコンテンツの著作権がクリアされた証明は出せるのか?」と聞くと、「著作権法では証明されるまでこの映像は使用し続けてもいいことになる」

なんとその後映像を盗んだ本人からも電話があり、同様のことを聞いた。「俺は何も盗んでいない」「これはお前の映画か?」「私には法的な権利があり使用している」。本人はもちろん盗んだことを知っているのにも関わらず権利を争う姿勢を見せた時にはとうに憤慨を通り越していた。

今回の事件は実際にプロダクションにも実害も生じる危険がある。例えば、俳優の出演許諾は映画および映画のプロモーションにのみ許諾されている。一見勘違いされがちだが、俳優は自らのイメージ、すなわち肖像権を常に所有しており、プロダクションはその肖像の使用を許諾されているだけで、肖像権そのものを所有しているわけではない。映画関係以外、すなわち許諾事項以外にむやみやたらに自らをイメージを使用された場合、それは俳優の権利の侵害にあたり、もし俳優がクレームを申し上げた場合、プロダクションはその責任を追及される立場にある。俳優の正当な肖像権を守る上でも、許諾なしで映像を盗み、無断使用したことは決して許されるべき問題ではない。

厳密には著作権法において、映画を製作した際、その著作権の保持には登録申請は必要ではない。著作権は映像を創った時点で自動的に製作者に帰属する。ただ、登録をしなくては公的に証明するには至らないと解釈する者もでてくる。

例え、それが商業的に発売され、世の中のだれもがその著作権の存在を認識していても、法的の証明となると「抜け穴」が存在する。言い換えれば、著作権違反者は「自分が著作権が有し法的権利で使用している」と証明せずとも、「著作権のその所在を明確に示されるまで」権利の所在をとぼけ「無実違反」(Innocent Infringement)として使用を許してしまう。例え、それが盗まれた映像でも同じである。

世の中には著作権法の解釈を駆使し、人の制作物を無断使用し続ける輩が存在している。それが、異国での問題ともなると、その訴訟の困難から泣き寝入りをしなければならない状態になるかもしれない。

そこで、少々馬鹿げているが結論は「それが本当に自分の物だ。違法使用をやめろ」と証明するためには、やはり著作登録が必要になる。

日本の文化庁にもあるが手続きが困難である。しかし、アメリカの著作権局では比較的安価で簡単にオンライン登録を行なうことができる。

オンライン登録では35ドルで、オンライン登録、また著作物素材もオンラインで著作権局へ送ることができる。手続き終了後、そして数日後その証明書が自宅に送られてくる。この手続きを行なっておけば、名実共にその作品が自分の著作物として法的に主張することができる。

これは例えば自分が脚本を書いた場合で第三者へ見せる前にも送っておくと、その後万一トラブルに陥っても法的に証明することができる。

映画の場合はフォームに沿ってオンライン登録し、その後インターネットを通して映像を送るか、もしくはDVDを送れば登録が完了する。

もし、自分の著作物がインターネット上に無断使用されていることを発見し、そのサイトを止めたい場合、サーバーがアメリカに存在する場合はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、サーバーに直接サイト停止のクレームを付けることができる。これはGoogleにもサンプルがあるのでみてもらいたい。 (*注:これはグーグルがサーバーの場合のサンプルであり、サーバーが他社の保有の場合は別の場所へクレームをつける必要がある。ただ、もしクレーム側が虚偽の申告をしてサーバーが停止した場合には、多額の損害賠償が請求された判例もあるので確実に自分のものである証明がある時のみ行なうのが適正)

著作権は決して安易な問題ではない。先日、ハリウッドレポーターでエクスペンダブルズのプロデューサーがUS Copyright Groupに依頼し、違法ダウンロードの一斉訴追を行なったと報道された。これは、違法業者だけでなく、違法と知りつつダウンロードを行なったものも犯罪に問われる。今回の訴追にはダウンロードを行なった個人も特定し、連邦裁判所へ訴えたもので、違反者は750ドルから3万ドルの罰金が科せられるとみられる。

これから映画のデジタル化はさらに加速する。ビデオオンデマンドやオンライン配信が、いまに映画を消費者に伝える主要ディストリビューション方法となってくる。言い換えれば観る側のモラルだけでなく、著作権法の意識がより一層必要になる社会でもある。

著作者の権利に尊重を持って映画やコンテンツを楽しむ様に願いたい。

日本行政の映画共同製作誘致政策

日本の製作する映画の多くは、主に国内マーケット向け映画に向けられ製作されている。しかし、近年UNI JAPANやジャパンフィルムコミッションなど関連法人も新設され、政府や関連行政省庁などで、日本のコンテンツを海外へ売るため、また国内で海外プロダクションの撮影誘致、諸外国との共同製作誘致の政策を目にする様になった。

しかし、一方でこういった政策がここ数年行なわれているにも関わらず、じっさいに誘致された共同プロダクションの話は聞こえてこない。私自身、現在2つの共同製作企画に携わって他にも、日本での撮影を望んでいるハリウッドプロダクションが少なくとも3つ存在していることを認識している。(もちろん撮影に至っていないのはロケーションの問題だけではないが)

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映画の中の著作権

映画撮影で気をつけなければいけない点に、劇中に使用するロゴ、人物の写真、音楽など著作権の取り扱いになります。

例えばある特定のロゴを使用する場合には、ロゴに著作権が発生している場合があり、厳密には著作権保有者に許可をとらなければなりません。例としては、ハリウッドの撮影ではエキストラの衣装までこと細かく管理されています。一番最初に言われる事はロゴ入りの衣装の禁止です。よく映画を見て頂くと、ロゴ入りの衣装を着ている人は誰もいないはずです。

また、有名人の写真などを使用する時、たいていの写真には著作権保有者がいて、許可なく映画の中で使用する事はできません。ごくまれにパブリックドメインといってどこにも著作権を有さない、もしくは著作権の所在が不明な写真などもあり使用できますが、このような場合でもパブリックドメインであるという証明が必要になる場合もあります。

本日、某日本のインディペンデント映画を見ました。昨年から話題になった作品で商業リリースされたのですが、そこにアメリカの有名人の写真が使用されているシーンが1カ所ありました。もちろん、アメリカにいる写真の著作権保有者がこの写真を見つけ、クレームをつける確立は低いかもしれませんが、厳密に言えば、この写真の商業利用は著作権において大きな問題になります。

現在中国の著作権侵害が叫ばれています。ただ当局や国際機関が厳しくとりしまれない現実もあります。ただ、日本においてもこのよううな現状が起こっては、国際的信用の問題にもなりかねます。特にエンターテイメント産業かかわる人間であれば、明日の我が身ということで、著作権への更なる高い意識が必要になります。

製作者本人の法的責任の為だけでなく、著作権への高い意識をもち日本の映画が作られて行けばと思います。

海外映画プロダクションの日本への招致と行政

近年、国の行政機関、地方自治体および新規設立の特別法人において「日本へ海外からの映画プロダクション」を招致しようという政策を見ることができます。ローケーションなど行政からの協力は映画製作にとってとても重要になり、こういった動きによりより日本が映画製作に「Friendly」な国へとなることで多くの国で日本を題材にした映画が作られるきっかけとなり、世界にむけて「日本文化」を発信する場にも繋がります。

ホテルチェルシーの制作の際に触れましたが、ニューヨークに世界の映画製作が集まる理由は、世界の人々が集まる街の魅力が映画の題材にしやすいことだけでなく、ニューヨーク市の映画製作に対する行政が進んでいる面もあります。

今週、各省庁や地方行政機関などに海外の映画招致の事でお話させて頂く機会がありました。しかし、個人的に感じた事は、「海外映画の招致」の政策とは裏腹に、「実」の意味で映画プロダクションを支援するシステムが整っていないことが感じました。ある行政機関からは、「映画を奨励するためにでの海外へのプロモーションをする政策はとっているが、来日するプロダクションに対しての実支援や協力政策は現在ない」というものでした。また別の機関でも同様の返事とともに「残念ながら日本に置いて海外のような協力体制は確立されていない」との返事をききました。もちろん海外のような協力体制がないのは、日本の行政の仕組みそのものが違うためでもあるので簡単ではありません。

例えばアメリカの地方自治はまったく異なっています。ニューヨークの独自の政策が直接反映できるためこうした進んだ映画奨励政策が取れるわけで、ロケーションにしてもニューヨークの市道の撮影許可はすべてニューヨーク市から発行でき、無償で警察官を派遣し道を閉鎖してもらうことも可能です。また税制の優遇もあります。しかし、仮に東京都の場合、東京都内の道の一部は国道であったり、管轄の問題もでてきます。また、海外が魅力的と考える東京の各所での撮影許可の手続きや申請は難しい場所がほとんどで、その他の諸問題もおおく存在しています。おそらく海外からのプロダクションからすれば、非常に映画が撮りにくい環境にあります。東京で撮影されたあるハリウッド映画もゲリラで撮影した箇所があると聞いたこともあります。

もちろん現在行われている海外に日本をプロモーションする政策も重要です。日本の地方では世界にまだ知られていない映画撮影の名所や、撮影に非常に「Friendly」な行政政策も各自治体で行われています。友人からの話では地方では自治体が撮影誘致に力を入れているとも聞きました。

また海外からのプロダクションの撮影の難しさは個々の行政機関の努力では解決しない問題でもあります。個人的意見ですが「日本が海外プロダクションが日本に来て映画製作する際に何ができるか?」という具体的政策整備があればと感じました。撮影現場で本当に必要なことは必ずしも金銭的支援であるとは限りません。言語や習慣が違う環境で撮影する海外クルーが必要なもの、手続きの簡素化、撮影許可の寛大化など「実」の支援で、海外からの撮影は増え、結果経済や雇用効果だけでなく、日本の俳優や日本文化がより映画芸術を通して世界に広まっていく機会に繋がればと思います。

5月12日:「ホテルチェルシー」トークショーにご来場いただいた皆様へ

本日は劇場まで足をお運びいただきありがとうございました。劇場にいらして頂いた皆様一人一人が映画への支えとなります。また作り手としては、一人でも多くの方々に見て頂けることが喜びでもあります。ご鑑賞後もし本作品を気に入って頂けた際には是非皆様の力で本作品を支えていっていただければ幸いです。

またこのブログにも撮影秘話を紹介しております。また、メディア情報のタグからこれまでのインタビュー記事へのリンクやホテルチェルシー公式ツイッターなどもございますので、ご鑑賞後一緒にお楽しみいただければと思います。

本日はご来場本当にありがとうございました。

ヒロ・マスダ

ホテルチェルシー初日舞台挨拶を終えて

本日初日舞台挨拶に沢山の方々にご来場頂き本当にありがとうございました。小さなインディペンデント映画ですが、ご来場頂いた全ての皆様が映画への支えとなりました。

またこれまで「ホテルチェルシー」を報道して頂いたメディアの皆様本当に感謝しております。

これからも「ホテルチェルシー」をよろしくお願い致します。

ヒロ・マスダ

映画「ホテルチェルシー」と色彩

今回の映画「ホテルチェルシー」では、映画の色彩も見所の一つです。本作品ではストーリー3つの時間軸によって語られます。そして3つのイベントがクロノロジカルでない順番で展開していきます。

第一は:現実の世界:主人公の日本人女性エミと刑事の事情聴取

第二は:事件を振り返る回想シーン:エミの記憶

第三は:記憶の中の回想シーン:エミの心理の中の世界

こうした入り組んだストーリーを表現するために、今回の映画では色を使いました。

第一の世界は:暖色系、第二の世界は:寒色系、第三の世界は:青、黄、紫など強い色彩で表現し心理の中の「記憶」の世界を作りました。

例として下の写真はエミとスミス刑事のやり取りの第一の世界です。左側が暖色系、右側が寒色系になっていると思います。本編ではこの時間軸には左側の暖色系の色彩が使われています。

そして次の写真が寒色系の写真です。上が色調整前、下が色の調整をおこなった後になります。

最後に第三の時間軸、エミの記憶の世界です。このシーンでは黄色を強く使いよりイマジナリーな世界を表現しました。

今回のポストプロダクションでは「Scratch®」というカラーグレーディングシステムを採用しました。今回撮影したデジタルカメラRED ONEのデータは膨大なものとなりますが、Scratchによりスムーズかつ迅速に作業を行う事ができました。

尚、一つの映画における「色」での表現は海外メディアにおいても特集を組まれ、世界配信されました。

デジタルメディアワールド (Digital Media World)

この作品をご覧いただく時には是非「色」にも注目してご覧いただければ、よりストーリーを楽しむことができるかと思います。

「ホテルチェルシー」劇場公開は5月8日から14日まで渋谷シアターTSUTAYAにてレイトーショー上映です。ぜひ劇場に足を運んで頂ければと思います。

ホテルチェルシー@オカナガン国際映画祭

今日一日で,3つ目の映画祭の通知が届きました。ホテルチェルシーが新たにカナダで行われる第13回オカナガン国際映画祭へ公式上映されることが決定しました。今年で13年目を迎え、ブリティッシュコロンビアで行われる同映画祭はカナダのインディペンデント系映画祭において大きなイベントになっています。

Okanagan International Film Festival

http://www.okanaganfilmfestival.com/

映画ホテルチェルシー英語版サイト

映画ホテルチェルシーの英語版サイトをアップデートしました。キャストやクルー紹介および写真、ビデオギャラリーも加わっています。映画に関するニュースも更新していきますのでアクセスしてみてください。