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歪んだクールジャパン政策:補助金適正化法無視で経産省から支払われる映像産業振興機構への裏金「広報費」20億円

経団連の思惑で動く342億円補助金と行政意思決定

今、諸手を挙げて推進されている「クールジャパン戦略」のコンテンツ海外展開促進事業(J-LOP)と称し平成24年度補正予算から数えること4事業、合計342億円の税金が拠出されている。そしてこの事業をこれまで連続で全て受託しているのが特定非営利活動法人映像産業振興機構である。

映像産業振興機構とは2004年の経団連の「知的財産推進計画」の提言を受け設置された法人で、経団連のコンテンツ部会長が理事を務めている。そして政府に対し「コンテンツ海外展開促進事業」の予算要望を毎年行ってきたのが経団連である。また、この補助金が始まった経済産業省の概算要求資料にはすでに「映像産業振興機構の受託を想定」と事業委託先の意思まで示されている。

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国策クールジャパンの暴走、経済産業省主導で行う官民ファンドを使った法令無視の公金横流しスキームの実態

2017年5月31日、産業革新機構はフューチャーベンチャーキャピタル(以下FVC)への株式会社ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS(以下ANEW)全株譲渡を発表した。ANEWとは、日本のIPでハリウッド映画を作るという名目で経済産業省が企画し、その後押しで産業革新機構が100%、60億円の出資決定を行い設立された官製映画会社である。

産業革新機構はこれまでANEWに対し、資本金及び資本準備金合わせ22億2000万円の投資を実行しているものの、国が認めてきた成長性、革新性、社会的意義、投資回収の高い蓋然性等の将来見通しは全て破綻しているだけでなく、撮影に至った映画は0本、にも関わらず今日まで少なくとも18億円以上の赤字を垂れ流している。

ANEWに対しては産業革新機構の出資会社への監査未実施に対し改善要求を行った財務省職員は「このような会社にはこれ以上公的資金からお金は出ないでしょう」という見解を語っており、ANEWの1年の赤字額が4億円程度であることを総合すれば、映画ビジネスにおいての持続的可能な経営は不可能と言え、そのまま行けば近々破産するのが目に見えていた会社だといえる。

また、これまで経済産業省が毎年発表している施策方針においてはANEWを「コンテンツ海外展開の国策」として掲げてきたが、突如今年度からANEWを削除している。

映画コスト回収の責任を負うことなく、経営者が痛まない国民のお金だからとハリウッドにばら撒くだけばら撒き、映画作りの一番楽しいところだけを謳歌した経営はさぞかし楽しかったに違いない。そもそも、ANEWは設立当時から映画ビジネスにおける利益回収の根拠を一切示していない。ではなぜ「クールジャパンらしさの追求」「グローバルモデルのイノベーション」など陳腐な経営理念のコピーのみの会社に産業革新機構は60億円の投資を決定し、今日の結果を招いたのであろうか?

これには行政ぐるみで法令及びガイドラインを歪めた巧妙な公金横流しスキームが存在する。

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経産省による法令違反と利益相反経営体制への投資事実の隠蔽

95%以上が出資者「国」の公的資金の産業革新機構には「産業競争強化法」に基づく経済産業省による毎年の業績評価が義務付けられている。当然ANEWに対しての業務評価も毎年行われてきたが、今日まで発表されている平成24年度から平成27年度の業績評価にはいずれも「社外取締役2名を派遣した」と記載されている。

これだけを見ると、報告書の書面上は官民ファンドと投資先企業が健全な関係が存在するように思えるが、ANEWとは産業革新機構マネージングディレクターの高橋真一氏が事業設計を行い、設立後に代表取締役に就任した会社である。その後ANEWの経営責任者はころころと何度も交代したが、高橋真一氏が社外取締役に就任し、中立的な見地でANEWの経営を監視、牽制する立場にいた事実は一度もない。

そればかりか設立時の社外取締役は高橋真一氏の下でANEWを設計した長田志織氏が就任しており、産業革新機構の上司と部下が自分ら経営者になる会社に100%出資するというガバナンスが効きにくい利益相反関係にあった。ANEWのホームページには高橋真一氏だけでなく、これまで就任した産業革新機構の役員情報は一度も掲載されてこなかった。

その後、ハリウッドのエージェント時代日本が関わる巨額買収契約締結の経験もあるベテランのサンディ・クライマン氏CEOに就任しているが、そもそもクライマン氏は産業革新機構が後から連れてきた社長との発言の議事録も残っている。また、ハリウッドの映画契約ではプロデューサーとは映画会社の幹部が自動的に名前が挙がるものではなく、プロデューサー契約では、映画での報酬、利益シェアにも参加できる。したがって、ANEW企画作品にプロデューサーとして名を連ねているクライマン氏は、日本の公的資金で運営するANEWと映画の両方から稼ぐことができる非常好都合な形にもなっている。

経済産業省はこの設立に密に関係し、設立直後に職員まで出向している事実からも、経済産業省がこの事実を知りえないというのは考えられない。したがって、故意に「本来やってはいけない投資」を踏み切るために毎年虚偽の業績評価を発表し続けてきたといえるだろう。

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官民ファンドガイドラインを歪め、国が国民に対する説明責任、情報公開を拒否できる制度

官民ファンドの活用推進に関する 関係閣僚会議で決定している「官民ファンド運営に係るガイドライン」がある。「監督官庁及び出資者たる国と各ファンドとの関係 」の項目には「投資決定時における適切な開示に加え、投資実行後においても、当該投資について適切な評価、情報開示を継続的に行い、国民に対しての説明責任を果たしているか」という事も定められている。

ANEW 設立においては、2012年9月15日発行『IPマネージメントレビュー6号』のインタビューにて、ANEWの最高執行責任者黒川祐介氏(当時)が「ANEWは数年に渡る経済産業省の企画を経て設立された」と述べている。また『2012年5月15日内閣府コンテンツ強化専門調査会第10回』において、経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課課長の伊吹英明氏は、ANEWに設立に関し、ロサンゼルスに出張し聞き取り調査を行ったとも答弁している。

これらの事実を根拠に、経済産業省に対して情報公開請求を行ったところ、経済産業省はANEW設立に関する公文書は確認できないと不開示決定を行った。これに対しては異議申し立て(現在審議中)を行っているが、経済産業省はそこで黒川氏、伊吹氏の発言は個人の立場で勝手に言っていることだとし、公文書の不存在を主張し、異議の棄却を求めている。

なお、産業革新機構が経済産業大臣に提出した『日本コンテンツの海外展開推進会社設立について』(2011年6月27日)の資料は開示されたが、産業革新機構のロゴ以外すべて黒塗り開示となっている。

経済産業省は「当該法人の競争上の地位その他正当な利益を損なうおそれがあると認められる」との理由を述べているが、そもそもANEWとは「ハリウッド映画化のノウハウを広く国内に還元する」という理由で公的資金出資が認められている会社でもあるため、この不開示理由も極めて矛盾したものである。

産業革新機構は、今回のFVC社への株式譲渡についてはその金額を非公表としている。

官民ファンドのガイドラインに国民に対する説明責任が明記されていながらも、現状は、映画企画開発では考えられない18億円以上赤字を垂れ流した経営の事実があろうが、公の金で作られたANEWについての設立経緯、経営状況、Exitに関する情報は一切開示されない。

たとえ、ガイドラインには「投資実行後における、適切な評価に基づく、各投資先企業についての財務情報、回収見込み額、投資決定時等における将来見通しからの乖離等の把握」とも定められているが、経産省はこれらに対し「公文書は作成も保有もしていない」を押し通してくる。

すなわち、官民ファンドとは、国は決められた国民への説明責任を蔑ろにし、官民一体で公的資金に関わる情報を完全ブラックボックス化できる非民主的制度になっている。

(2017年7月20日、8月13日加筆)6月29日にFVC社は有価証券報告書においてANEW買収額がわずか3400万円であったと発表している。また、8月10日には負ののれん発生益 2億3200万円を特別利益として計上したことを発表した。

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ガバナンスが効かない利益相反行政と経営体制による公金横流し

成果が7作品の映画企画発表のみで18億円以上の赤字を計上したANEWのビジネスは映画ビジネスの常識では考えられないほどナンセンスなものである。

しかし、こうした無秩序経営と国民財産の毀損を野放しにした原因は、上に示した通り、監督官庁の経済産業省が設立を企画、職員を出向させ、100%株主だった産業革新機構の上司と部下が代表取締役と社外取締役の関係で経営を行うなどを行った利益相反の行政と経営体制にある。

その証拠に、ANEWは第4期の決算公告に2057万5000円の「賞与引当金」を計上している。ANEWは第6期に初めての売り上げ1500万円を発表している。これは産業革新機構が株式譲渡を発表したプレスリリースにある年内中に撮影予定の作品の脚本が売れた金額と推測できるが、この金額でさえANEWの1回のボーナス支給に満たない。ちなみに第4期といえば、すでに「3年で利益が出る」といった将来見通しの破綻が判明している年である。

このように、「日本を元気にする知的財産戦略」という本来の公的資金投資の目標の達成より、自分たちへの2000万円のボーナスを優先される公金横流しの経営意思決定に対し、利益相反の取締役会、株主総会は何の問題もないとしている。さらには、毎年、将来見通しとの乖離や国民財産の毀損がないよう業績チェックを行うはずの経済産業省も本来定められた行政の役割と責任を果たすことなく、国民への説明に虚偽を記載するなどし国策クールジャパンの暴走の片棒を担いできた。

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政治チェック機能の崩壊、裁だけの置き物大臣による職務怠慢

産業革新機構に関する法令には、出資先の対象事業者への意見伺いを経済産業大臣に対し行うことも定められている。

行政開示文書によると、平成23年6月27日に産業革新機構社長の能見公一氏(当時)が送った書面に対し、海江田万里経産大臣(当時)は同じ日の6月27日に「社会的意義を有するものとして高く評価できる」と回答している。能見氏と大臣の関係であるが、能見氏は民主党が連れてきた社長であると政府関係者は発言している。

そもそも、複雑な海外映画事業の書面と資料を受け取り、即日、その投資に成長性、革新性、社会的意義が認められると回答することは到底できるものではない。また、ANEWにおいては今日の結果が示す通り、映画ビジネスの専門性から見れば始まる前から一目でナンセンスだと判断できる虚業である。

すなわち法令で定められた大臣承認は形式的なものに過ぎず、経済産業省の関与が明らかなANEWは、官僚主導の出来レースであったと考えるのが自然である。従って、法令に定められた経済産業大臣の職務怠慢も今日の結果を招いた一因であるといえよう。

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ANEWの不当廉売による日本IPの独占

官民ファンドガイドラインには、「競争に与える影響の最小限化」も定められている。しかし、ANEWが行ってきた業務は、ANEW決算にある過去の売り上げ高が示す通り、日本企業IPの英語資料を作り、契約、法務、交渉を無料で行い、さらには脚本家に係る経費までANEWが負担するというものである。

これは本来対価を得るべきサービスであり、それを無料で不当廉売し、さらには採算性を度外視しし公的資金でお土産までつける。まして国策支援の看板をつけて業務を行えば、国内で独占的な立場を獲得できる立場になりえ、競争における影響は多大だったといえる。

国はガイドラインで認められた職員出向だけは直ちに行っているが、こうしたチェックは行って来なかった。経済産業省報政策局文化情報関連産業課課長の伊吹英明氏においては『2012年5月15日内閣府コンテンツ強化専門調査会第10回』で、「日本のコンテンツをここに預けないとそもそもここは仕事をできないところ」などとANEWの独占的事業を宣伝し、国策映画会社を正当化する発言まで行っている。

お墨付きを与える政府御用会議

ANEW設立においてはコンテンツ強化専門調査会と知的財産本部評価、検証、企画委員会という政府会議も深く関わってきた。

これらの会議は中村伊知哉氏が座長を務めており、同氏は角川出版から出された著書『コンテンツと国家戦略』の中でもANEWについて記述している。特に「評価、検証、企画委員会」においてはANEWの検証を求める意見が委員から出ながらも、それ以前の会議にも出席していた中村氏や伊吹経済産業省課長は一切答えることなくこれを聞き流していた。

結局、こうした会議は官僚たちの「私達こんなことにお金使いました」の発表会に過ぎず、会議を通すことで無駄事業にお墨付きを与えるだけの御用会議化しているといえるだろう。

2016年末には内閣府に「映画の振興施策に関する検討会議』が組織された。2017年に施策方針が取りまとめられた。そこでは、新たな官民ファンドのクールジャパン機構を利用したリスクマネーの供給を行う施策を講じることが取りまとめらている。これは第2のANEWになりかねないか今から注視する必要があるように思える。ちなみにこの会議の座長もまた中村伊知哉氏が務めている。

経済産業省と産業革新機構の責任を追及せよ

私は、ANEW設立の発表直後から5年間に渡りその産業支援のやり方に警鐘を鳴らしてきた。そもそもロサンゼルスと虎ノ門にオフィスを構え、アメリカ支社にはANEW Productionsなる子会社まで作り、ころころ変わる専門性を持たない役員や経産省出向役員を雇い、売上高0円ながら数千万円のボーナスを計上するような経営で利益が出るような映画企画開発ビジネスは最初から存在していない。しかしこんな法令無視の虚業が「日本を元気にする」知的財産戦略の大成果だと評価されてしまう。

また、ANEWの問題は単なる損得の問題ではない。ANEWにおいては「莫大な国富を国内のクリエイティブ産業に還元し、日本のエンタテイメントを再生する」までが公的資金投資に含まれていた約束である。日本のエンタテイメント産業には未だ問題は山積で、多くの「困った人」がいる。ANEWで日本が失ったものとは決して金銭的損失だけでなく、法令無視の無秩序な無駄事業が妨げた日本の映像産業の発展というのも、この国にとっての非常に大きな国の損失である。

個人的な意見としては、民間でファンドマネージャーが顧客の18億円を毀損させたら、普通、その者の将来にこの分野の職があるとは思えない。ましてや毀損した原因が自らが設計し、経営する会社に100%投資した結果なら、出資者(この場合「国」)から訴えられるのが当然である。仮に民間の映画プロデューサーが「日本ではうちしかできないことだ」「3年で利益が出る」、経営途中で「撮影準備中の映画があり経営は順調だ」と偽り、金集め、5年後に映画すら存在していない場合、映画投資詐欺の罪で刑務所行きもありうる話だと思う。

ANEWへの投資については、規制、監督する立場の経済産業省が出向し、法令に反し偽りの業績報告を国民に対し行い、国会では虚偽の経営報告まで行っていた。法令、ガイドラインこそあるものの、現状では、それを行政がそれを歪め、本来定められた国民に対する説明責任も全て闇の中にできるのが官民ファンドの制度になっている。

映画ビジネスにおける「需要」と「供給」とは、日本の公的資金で食べるための「需要」と「供給」ではない。形骸化された民主主義制度を作り上げ、国民財産の損失を自己利益にかえるような不適切な投資が「クールジャパン万歳」「日本再生のて目の適正な投資」というのはあってはならない事である。

ANEWの件おける経済産業省と産業革新機構の責任追及は絶対に必要であろう。

 

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「日本におけるプロダクションインセンティブ設置」についての提言

内閣府知的財産戦略本部に「日本におけるプロダクションインセンティブ設置」についての提言を提出しました。

内閣府リンク:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ikenbosyu/2017keikaku/pdf/teigen.pdf

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知的財産産業とは「人」が富を生む産業です。日本が知的財産分野で国の経済を牽引し、この産業で食べていくということは、日本のコンテンツ製作環境に「新しい金」の投資を取り込み、次世代にわたり、産業を支える創作現場に質のいい産業雇用の創出と経験を生むことが重要であると考えます。またソフトパワーによるインバウンドや日本のイメージ向上など波及効果を得たいのであれば、まずこの国で継続的にインバウンド効果を生む良質のコンテンツが生まれる環境がなければそもそも達成できないものであります。

しかし、エンタテイメント産業がグルーバルビジネスになっている今日において、日本の「作る側」の製作環境は、90%以上が国内の「古いお金」によって賄われ、その「古いお金」も受注削減やクライアントの経費削減の影響を受け先細りしています。一方、国際競争が極めて激しい世界のコンテンツ投資市場において日本は「新しいお金」の獲得に失敗しています。その大きな原因は、日本に「プロダクションインセンティブ」という政府支援制度がないことによるものです。

国際フィルムコミッショナーズ協会(AFCI)によると、今世界にあるクリエイティブ産業の製作費消費市場(production spending)は年880億ドル(約10兆円)に上り、また、PwCの試算では中国やラテンアメリカなど新興市場の成長もあり、2019年には1046億2000万ドル(約11.71兆円)に到達すると推計されています。[1]

このような市場に対し、映画、TV、アニメ、ゲームなどクリエイティブ産業振興を戦略に打ち出している国や都市は、プロダクション誘致による投資獲得を実現し、この分野の産業を経済振興、雇用創出、ならびにクリエイターの所得向上、実地経験を通したスキル開発、制作インフラの成長等に繋げています。

例えば、2016年、映画、TV、アニメ分野の投資誘致先進国であるイギリスは、1994年の統計開始以来過去の製作費消費誘致を実現しています。2017年1月26日に英国公的映像機関「ブリティッシュ・フィルム・インスティチュート」が発表した「2016年イギリスにおける映画、大型予算TVドラマ、アニメ製作の統計」[2]によると、2016年の製作費誘致は前年比13%増となる15億9600万ポンド(約2266億円、£1=¥142円)で、そのうち大部分の85%に当たる13億4900万ポンド(約1915億円)は海外からイギリス産業現場に誘致された「新しいお金」になっています。

こうしたイギリスの成功の一番の要因は、今やクリエイティブ製作投資の意思決定において絶対必須となっている世界でも特に戦略的かつ潤沢な「プロダクションインセンティブ」という政府支援制度が投資の呼び水になっているからです。「プロダクションインセンティブ」とは、自国や地元都市への製作費消費や地元雇用への投資に対し一定割合を助成する制度ことで、現代のプロデューサーの資金調達のプロセス、コンテンツ投資の意思決定の部分において必要不可欠な要素になっています。

イギリスのケースの場合、もしこれがイギリス国内の「古いお金」だけで創作をしていた場合、国内の製作環境に回る製作費消費はたったの350億円になります。つまり、残りの85%の「新しいお金」の獲得こそが、国内のクリエイターたちへの質のいい産業雇用の創出、実地を通した人材育成と経験、インフラの成長、さらにはVFX、アニメーションおよびVRなどの革新的技術開発を生んでいる要素になります。

一方、こうした政府支援の枠組みの術を持たない日本は「新しいお金」獲得の国際競争に劣っています。その結果、政府調査にもまとめられているように、長年に渡り、アニメーターら産業現場で働くクリエイターたちは困窮し、この産業の担い手である次世代の若者が使い捨てで酷使されている根本的な構造問題の改善に至っていません。これは2016年3月23日発表の経済産業省の「コンテンツ関連産業指数」によると、作り手側の「制作」は下降傾向にあるというまとめや、帝国データバンクが2017年1月24日に発表した「映画・映像関連企業の業績・倒産動向調査結果」にある「制作」の倒産件数増加にも表れています。

「プロダクションインセンティブ」制度は、2016年時点のアメリカで潤沢な制度を備え、コンテンツ制作のハブを担っているニューヨーク、カリフォルニア、ルイジアナ、ジョージアを含む37州が打ち出しており、加え、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも戦略的な支援制度を備え世界有数のコンテンツ投資の誘致国となっています。さらに、イギリス、アイルランド、フランス、マルタ、イタリア、オーストリア、ドイツ、エストニア、ハンガリー、リトアニア、セルビア、マケドニア、チェコ、クロアチア、ポーランド、ノルウェー、アイスランドの欧州国だけでなく、南アフリカ、UAEにも近年は投資が集まり、その効果が証明されています。また日本を取り巻くアジアも同じで、マレーシア、タイ、韓国、台湾に加え、2016年は中国青島市が世界最高水準に並ぶ40%のインセンティブ制度を発表しています。

このような世界競争の環境下に置かれている日本のクリエイティブ産業におきましても、自国作品の製作費レベルを上げるだけでなく、世界の「新しいお金」からの日本コンテンツ投資への文化的ならびに商業的興味の誘引し、また産業を支える重要要素である日本で働く「人」の所得向上や経験を生むためにも、既に世界のクリエイティブ産業において速効性があり、かつ有意義な経済効果が証明されている「プロダクションインセンティブ」設置は急務だと考え、ここに日本の知的財産分野で日本を豊かにするために必要な「プロダクションインセンティブ」制度設置を提言します。

[1] Filmed entertainment: Key Insight at glance

https://www.pwc.com/gx/en/global-entertainment-media-outlook/assets/2015/filmed-entertainment-key-insights-1-growth-around-the-world.pdf

[2] British Film Institute: Film and high-end television and animation programs production in the UK: full year of 2016

http://www.bfi.org.uk/sites/bfi.org.uk/files/downloads/bfi-film-and-other-screen-sectors-production-in-the-uk-2016.pdf

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クールジャパン・コンテンツ海外展開補助金282億円の闇:映像産業振興機構による基金管理事務費不正請求と年度報告書の改ざんによる8億5000万円公金詐取疑惑

「1円たりとも税金の無駄がないことを確認しています」経済産業省

この国では巨額予算がつくとそれがすぐ税金の無駄の温床になる。今、政官民で熱に侵されているクールジャパン政策もその一つである。これまでクールジャパン・コンテンツ海外展開促進事業には282億円もの税金の交付が決定している。この補助金に関して経済産業省メディアコンテンツ課の今村氏は次のように説明した。「経済産業省は1円たりとも不適切、無駄な税金がないことを確認しています」しかし、この言葉とは裏腹に経産省への情報公開により基金設置法人による架空の管理事務費請求、年度会計報告書改ざんが判明し、経済産業大臣の承認のもと少なくとも8億5000万円もの税金が不正に支払われている疑惑が発覚した。

経済産業省の開示文書:(PDF)

平成27年度映像産業振興機構への補助金に関するすべての文書

クールジャパン助成金管理事業は40億円のビッグビジネスblog_2

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クールジャパン関連のコンテンツ海外展開促進事業(J-LOP、J-LOP+、JLOP)には、これまで平成24年補正(経産省123億円、総務省32億円)、26年補正(経産省60億円)、27年補正(経産省67億円)と総額282億円が交付決定されている。そして、その巨額基金管理事業の全てを制度設立時に経産省が概算請求の資料に受託想定先と記載した特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)がその通りに受託している。なお、27年度補正予算時公募数は2件である。また、この補正予算に関し政府に予算提言を行った経団連コンテンツ部会の部会長依田巽氏は映像産業振興機構の幹事理事を務めている。

28年第2次補正においても60億円の予算がつき、これも映像産業振興機構が受託している(J-LOP4)(*2017年1月4日加筆)

このクールジャパン補助金基金設置法人には総事業予算の中から平成24年補正予算J−LOPで28億2491万円、平成26年補正予算J-LOP+で3億円、平成27年補正予算JLOPで7億9000万円が割り当てられている。つまり「クールジャパン」を運営すること自体が公的映像系法人にとって格好のビッグビジネスになっている。

映像産業振興機構においては間接補助事業者に当たる広告代理店株式会社クオラスの社員が出向(*経産省メディアコンテンツ課はのちに出向ではなく業務提携であったと説明を変更)するなどの癒着や、利益相反で管理する補助金に手をつけ運営したジャパンデイプロジェクトなど、不適切な基金管理実態もこれまで確認されている。

(関連記事:クールジャパンが生む不透明なカンヌ映画祭事業への補助金1億円と経済産業省の隠蔽体質クールジャパン補正予算に巣食う映像産業振興機構とジャパンデイプロジェクトにある経済産業省の嘘

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日本を元気にするコンテンツ総合戦略60億円の負の遺産:ALL NIPPON ENERTAIMENT WORKS4年間の杜撰な経営実態と公的資金投資評価

設立から4年、投資決定時の将来見通しは破綻

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「日本を元気にするコンテンツ総合戦略」として経済産業省が企画し、2011年に産業革新機構が設立した株式会社ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS(ANEW)には、4年以上が経つ今も映画は1本も存在していない。そして投資決定時にあった「設立3年で継続的な利益を生む」という将来見通しは乖離どころか、もはや破綻状態にある。

国民財産の投資を適切に行うための担保となる法律、第三者機関の公平性、独立性は形骸化し、関係者が利益相反で行っている公的資金運用のルールを無視した経営体制は、天下り監督官庁の経済産業省によって「適切な投資」と承認されている。これは起こるべくして起きている公的資金60億円の毀損であり、クールジャパン政策における国レベルの腐敗を映し出している。

 

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なぜクールジャパンの思い込み施策と税金の無駄は繰り返されるのか?:経産省平成27年度補正予算67億円と日本IP海外展開についての正しい知識

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日本政府は2018年までにコンテンツ輸出を3倍にする計画を立てている。しかし「日本はすごい、あとは売り方の問題」というクールジャパン施策の思い込みは適切な映画産業支援への思考を蝕んでいる。一方で「人」を育むことを無視し続ける「思い込み戦略」に付き合わされる日本のクリエイティブ産業はたまったものではない。

平成27年12月18日、経済産業省は平成27年度補正予算案を発表した。その中でメディアコンテンツ課は「地域コンテンツ海外流基盤整備事業」に66億9000万円を計上している。この事業は平成24年の補正予算以降にこれまで215億円を費やしてきたプロモーション、ローカライズ支援事業(J-LOP)に加え、権利許諾を円滑化するための権利情報データベースを作ることを目的としている。

またこれを報じた米ヴァラエティ紙によると、複数の企業からなる製作委員会制度によって複雑化している権利者情報を海外バイヤーに対して明確に示すとしている。

データベース整備があれば日本の知的財産に突如高値が付いたり、頻繁な取引が促され、コンテンツ輸出が促進されると信じ込む思考法、これは日本の政府会議室だけに通用する独自のの「思い込み」である。この「思い込み」は専門性や適切な分析も欠き、問題の解決策のためにデザインされていない。さらに「思い込み」が作る法外な税金の不必要な事業は、しばしば天下りの温床になっている。

世界最大のデータベースは既に存在

果たして年間何人の海外バイヤーがこう言った情報を欲しているのか?そして日本の権利者情報は本当に取得が困難な場合の方が多いのか?そして日本独自の権利データベースは本当に知的財産の活用における問題の解決策なのか?

そもそも映画、TV番組、アニメ、ゲームを網羅する世界最大のデータベースは存在している。データベースの問題は巨額の税金を使わなくともアマゾン子会社のインターネットムービーデータベース(IMDB)を利用することで簡単に解決することができる。

IMDBとは世界の産業プロフェッショナルの常識となっている情報ツールであり、過去の作品から、現在企画開発中の作品の製作会社、プロデューサー、監督から俳優、クルーのビジネスコンタクトを入手することができる。またタイトルによる検索だけでなく、製作国「Japan」を選択することで、日本製作作品に絞って調べることも可能である。

もし日本の著作者が海外バイヤーに権利者情報を知って貰いたいのであれば、当事者自身で最新の情報に更新すればいいだけである。有料サービスであるIMDB Proの料金は月額14.99ドルか年間149.99ドルである。また30日間の無料体験も設けている。こうした産業に関わる人が知る当たり前の民間努力で、経済産業省の億単位の事業の問題は解決することができる。

また海外マーケットにおいてはCINANDOというデータベースがあり、作品やバイヤーの参加スケジュールやコンタクトのほか、オンラインで試写やアポイントまでとることができる。 なぜクールジャパンの思い込み施策と税金の無駄は繰り返されるのか?:経産省平成27年度補正予算67億円と日本IP海外展開についての正しい知識 の続きを読む

クールジャパン補正予算に巣食う映像産業振興機構とジャパンデイプロジェクトにある経済産業省の嘘

今年のカンヌ映画祭事業を実施したジャパンデイプロジェクト事業に流れる巨額補助金の説明は極めて不透明で、矛盾に満ちたものだった。

ジャパンデイプロジェクトは「経済産業省の支援事業」発表されていた。また、運営責任者である映像産業振興の事務局長も経済産業省の補助金であると回答していた。

しかし、1つの事業を終え、ジャパンデイプロジェクトプロデューサー選出にも関与していた経済産業省に対して情報公開請求をすると、全く別の補助金であるために公文書は一切作成も取得もしていないと不開示決定を出した。

また、経産省が説明するその助成金の交付決定履歴にジャパンプロジェクト運営の名前はなく、また事業実施期間中もそのような発表やクレジット表記をしていなかった。

さらに、映像産業振興機構の今年度の予算計画にもジャパンデイプロジェクトを運営する規模の予算は計画されていない。

すなわち、当初の計画では経産省の説明する補助金とは別の補助金が存在していたと考えられる。

ジャパンデイプロジェクトにおいては補助金の流れの不透明だけに留まらず、その運営構成員も不可解なものであった。

自らが預かる巨額公的基金を管理する映像産業振興機構には今回のジャパンデイプロジェクトの運営の構成員となった広告代理店社員が出向し、5つ海外プロモーションイベントを「垣根を破り」と不自然に1事業にまとめ、自らの事業に巨額補助金を承認させていた。

これらを矛盾点を検証すると、経済産業省と巨額公的基金を預かる映像産業振興機構は、内部の裁量でクールジャパン補正予算でついた補助金会計を自由に操作できる構造が存在する。

経済産業省は補助金をすり替えることで責任逃れができ、またそれ理由に国民が持つ不可侵権である国民の知る権利を侵害し、虚偽の公文書まで作成し情報を隠蔽したことになる。

2ヶ月間にわたり情報削除など様々な工作をしてきた不可解のジャパンデイプロジェクト事業であるが、8月12日に3つイベントの中止と事業終了を発表した。

情報をひた隠しにする経済産業省と基金管理団体の映像産業振興機構が口裏合わせを別の補助金であったという既成事実を作り上げ「何も問題ない。全ては適正な補助金事業であった」と幕引きを図ろうとしている。

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コンテンツ海外展開促進事業助成金(J-LOP)

経済産業省が公文書で回答した結論によれば、自らが管理する155億円の基金を、基金管理団体映像産業振興機構とそこに社員を出向される広告代理店が結託し、秘密裏に企画する自分たちの事業に億単位の税金を執行できる事業であるということであった。

この補助金の承認には第三者委員会なるものが存在し、その第三者委員会は一般に公表することで補助金へのロビイング活動や不適切な癒着が助長されるとの理由で非公開となっている。

しかし、基金管理団体とそこへ出向する広告代理店であれば当然この第三者委員会に対してアクセスができる立場にあり、結果自分たちの事業に巨額補助金が承認されているなど、極めて公平性、透明性を欠く構造となっている。

この巨額補助金とはクールジャパンの補正予算でついたコンテンツ海外展開等促進事業助成金(J-LOP)であり、経済産業省が123億円、総務省が32億円、合計155億円の基金のことである。

この基金はローカライズのほか、海外イベントなどのプロモーション経費の2分の1まで助成する助成金である。

J-LOP基金は平成24年3月に設立、平成27年時点の残高は103億円で、経済産業省の説明ではこの全額を今年の12月使いきり終了する予定である。

映像産業振興機構には今回の155億円基金の他、追加補正予算による追加60億円の基金も存在する。

地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業費補助金

http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150316005/20150316005.html

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ジャパンデイプロジェクトの終了

日本にはたくさんのエンタテイメントの種があります。本プロジェクトを通して、日本のコンテンツや文化の種を世界中に撒くとともに、記憶に残るような日本文化体験を提供することで『世界と日本』『人と人』の出会いがより 広く、深く、密になっていくことを心から期待しています / プロデューサー小山薫堂

日本のエンタテイメントの種を世界中に撒くとしたジャパンデイプロジェクトは、台湾漫画博覧会の開催期間を過ぎた8月12日に、カンヌ映画祭、パリジャパンエキスポ以外の実施予定のイベントを全て中止し、事業を終了したと発表した。

以前から事業計画が破綻した予兆はあった。

カンヌ映画祭後、すぐにカンヌMIPCOM、東京のイベントが削除された。運営にあったクオラス、アサツーDK、映像産業振興機構、プロデューサー小山薫堂氏等の責任者の名前、そして「本プロジェクトは、経済産業省の支援を受け、実施しています」の一文がホームページから一斉に削除されていた。

またジャパンデイプロジェクトに来賓として招かれ、また海外映画関係者と映画政策についての情報交換を行うためにカンヌに出張した経済産業省メディアコンテンツ課柏原恭子課長はすでに大臣官房グローバル経済室長に異動になっている。

すなわこの事業の責任者たちは事業終了発表前にすでに姿を消していた。

クールジャパン補正予算に巣食う映像産業振興機構とジャパンデイプロジェクトにある経済産業省の嘘 の続きを読む

不透明なカンヌ映画祭事業補助金1億円と経済産業省の隠蔽体質

今年の日本政府のカンヌ映画祭事業は内容だけでなく、巨額な補助金額と不透明なものであった。

5年ぶりのカンヌ映画祭パビリオン出展、また高額な補助金事業にもかかわらず公募、企画競争はなく、また経済産業省が企画、実施の責任者を補助金を申請する事業者に推薦、その後申請内容、予算が承認を受けるなど極めて不可解な税金の使い方をみせた。

また経済産業省はカンヌ映画祭事業に関わる情報を不開示とし、またこれに関わる一切の文書は存在しないと回答した。

さらに今、映画産業のめまぐるしい環境変化、国際競争をよそに、クールジャパンを理由に突然降って湧いたかのようなカンヌ映画祭補助金事業に関わった責任者たちは一斉に表から姿を消している。

運営が関係者全員をホームページから一斉削除

2015年のカンヌ映画祭では近年の日本政府の取り組みでは類を見ないほど派手な税金使いを見せた。カンヌ映画祭事業単体だけでもその額は清算確定前の予定額で1億200万円である。

今年のカンヌ映画祭事業は経済産業省の補助事業であるジャパンデイプロジェクト事業の一環として行われた。

ジャパンデイプロジェクトの実施団体は株式会社クオラス、株式会社アサツー ディ・ケイの広告代理店2社と特定非営利法人映像産業振興機構の構成員からなるジャパンデイプロジェクトコンソーシアムである。

そして一連の企画、実施を指揮したプロデューサーは経済産業省の推薦の中から映像産業振興機構が選任した小山薫堂氏である。

経済産業省商務情報政策局メディアコンテンツ課の説明によれば、ジャパンデイプロジェクトコンソーシアムからカンヌ映画祭事業を含む7月のパリのジャパンエキスポ、台湾の漫画博覧会、10月のカンヌMIPCOMと東京事業という総合イベント事業に対して補助金の申請があり、それを第三者委員会が内容、予算を審議後、補助金を承認し事業開始に至ったという。

つまりジャパンデイプロジェクトとは、カンヌ映画祭事業の1億円だけでなく、その後の4イベントにもじゃぶじゃぶと補助金が約束されている事業である。

しかし現在ジャパンデイプロジェクトのホームページから、経済産業省、実施団体、プロデューサーと1億円のカンヌ映画祭事業に関わった責任者の全ての名前が削除され、その痕跡が消された状態になっている。

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(*7月31日の情報開示決定および経産省職員の説明時点での更新)

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出資者「国」でもチェック機能ゼロのカバナンスで拡大する10億円の赤字:60億円利益相反官製映画会社ALL NIPPON ENERTAIMENT WORKSの3年間

本来、公的資金の運用には通常の会社以上のガバナンスがあって然るべきである。

2014年10月27日、海外展開クールジャパン事業として設立された国策映画会社ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKSが設立から3年を迎えた。

しかし「クールジャパン」の名の下、本来ある公的資金運用ルールに違反する形で官製ファンドの産業革新機構と経済産業省が密に連携し100%子会社の映画会社を設立し、国民財産の投資に認められた公益性、成長性、革新性が何一つ達成されないにも関わらず、身内が身内をチェックするという不適切な企業ガバナンスで平然と60億円もの公的資金を運用している。

当然、国民の財産を出資する官製株式会社の経営を監視するため、法律によって行政による事業評価が定めらている。しかし事業を所管する経済産業省はこの映画会社に天下りするなど、行政までも”身内”となるまるで官民一体の公的資金ロンダリングというべき無秩序な政府ガバナンス構造となっている。

ならば政治の監視となるはずだが、何の知識を持たない担当大臣、政務官が形式的に政府戦略会議に出席するだけの監視。さらに国会答弁では経済産業省大臣がその説明に全く整合性のない官僚原稿を棒読みするだけなど、完全に国としてのガバナンスが機能不全に陥っている。

政府が謳う「クールジャパン」とは国民財産の60億円が国民に報告せずとも自由に使えてしまう魔法の言葉である。

「グローバルモデルによるイノベーションにより ニッポンのエンタテインメントが生まれ変わる(anew)」*1

では、どうして政府と官製ファンドがこんなでたらめ標語を掲げるだけで、映画、TV、アニメビジネスにおける効率性向上、日本クリエイディブ産業への新規投資獲得、利益創出のビジョンすら破綻している天下り映画会社が「日本のイノベーション」と定義され、60億円もの公的資金が運用がまかり通ってしまったのか?

 

 
ANEW_hyouka*1:「事業内容」 『株式会社All Nippon Entertainment Works』
http://www.an-ew.com/ja/aboutus/business-innovation/

経営実態の検証

昨年このブログ*2でもこの映画会社の業務実態を検証したが、事業を所管する経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課長(当時)の伊吹英明氏は、内閣府の知的財産本部の政府戦略会議において1年以上にも渡り「設立から3年で利益を出す」ANEWの事業や事業経過を説明、報告していた。*3

さらには平成25年の5月の時点で経済産業大臣官房審議官(当時)の中山亨氏も国会で「第1弾企画の『ガイキング』が撮影準備中である」と経営実態を説明していた。*4

こうした経済産業省の順調で利益見込みがあるという経営実態の説明を根拠に、2013年12月にはALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKSには2億5000万円の追加出資まで行われている。*5

ANEW_2015_1ANEW_2015_2

*2:株式会社ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKSの検証:官製ファンドを使ったクールジャパン映画グローバル戦略イノベーションにみる腐敗と天下り
https://hiromasudanet.wordpress.com/2013/06/22/article_01_all_nippon_entertainment_works/
*3:「コンテンツ強化専門調査会(第4回)議事録」 2013年04月17日 『首相官邸』http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2013/dai4/gijiroku.html*4:「第183回国会経済産業委員会第14号 平成25年5月24日(金曜日) 」 『衆議院』
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818320130524014.htm
*5:ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS 履歴事項全部証明書 PDFファイル)
https://hiromasudanet.files.wordpress.com/2014/10/anew_web.pdf

しかし今がその審判となる3年である。

どこを見渡しても公的資金で運営されているこの映画会社が約束した映画をプロデュースした事実、それを世界規模で公開し国内映画産業を再生すべく”莫大な国富”を築いた事実はない。

それどころか映画製作でプリプロダクションと呼ばれる「撮影準備中」の過程の映画などこの会社に一度も存在した事実はない。

つまり、ありもしない経営状態を偽り投資を獲得した手法は、3年で出荷できる和牛を飼っていると配当を約束し投資を募り、実際には牛すら買っていない詐欺と同じ原理である。

このように3年で利益を出すという国民の財産の投資を決める重要な根拠となったであろう経営目標は今や完全に破綻している。また、ANEWと経済産業省は国民に対し現状の経営説明を一切行っていない。

さらに経済産業省の伊吹氏は「日本のコンテンツをここに預けないとそもそもここは仕事をできないところ」*6と 海外展開の業務はこの国が作った映画会社でしか達成できない事業であると説明している。 出資者「国」でもチェック機能ゼロのカバナンスで拡大する10億円の赤字:60億円利益相反官製映画会社ALL NIPPON ENERTAIMENT WORKSの3年間 の続きを読む

カンヌ映画祭の文化庁・ユニジャパン・ジェトロのジャパンブースにみる国際舞台における映画行政とロケ誘致の問題

もし、目まぐるしく変動している映画産業の国際舞台において、そこがどんな場所なのか認識せず、毎年予算を執行するだけの感覚の日本政府が日本代表として現地で「ジャパン」の看板を掲げていたら?

もし、毎年行なわれている主要国際映画祭など世界のイベントにおいて、日本代表の映画産業の窓口を自国の映画産業の発展の為の取り組みの認識すら持たない人間が行なっていたら?

もし、そんな日本代表が存在していたら、日本が獲得すべき映画産業の雇用、未来に繋がるプロダクション経験は他国への流出し続け、日本の立場を著しく損ねる原因となる。

しかし今述べた「もし」は決して仮定ではなく、何年も続く日本の映画行政の姿である。

2014年のカンヌ映画祭・フィルムマーケットに参加した。

カンヌフィルムマーケットにはインターナショナルビレッジ(国際村)といって、様々な国がパビリオンやブース設けている。

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国が出展しているパビリオンやブースの最大の目的、役割とも言っても過言でないことは自国へのプロダクション誘致である。

日本も毎年文化庁から事業委託されたジャパンブースなるものを出展している。

今や外国からの産業投資の獲得、自国の雇用創出プロダクション誘致こそ各国共通の最大の国家課題で、色々な国が地元プロデューサーと海外プロデューサーの交流の為のネットワーキングパーティを開いたり、ロケ誘致や共同製作についてのセミナーを開催している。

また、こうした場所にはロケ誘致に精通した担当者が待機し、政府のインセンティブをはじめとする制度や、撮影ガイドブックなどの配布している。

カンヌ出発前にはプロデューサー宛にこういった様々な国からカンヌでのイベントの招待状が次々届く。

私もインド政府から招待状が届き、ネットワーキングのカクテルパーティに参加した。

会場にはインド人プロデューサー、監督達がいて、「インドロケの相談なら何でも言ってくれ」とインドへのプロダクション誘致のための交流をしていた。

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会場には共同製作協定があるインドーフランス共同製作のヒット映画「めぐり逢わせのお弁当」のフランス人プロデューサーとも出会うことができた。

彼からは「製作費の20%還元制度があるフランスで是非映画を撮ってよ」という民間交流もあった。

また別の日、オーストラリアのプロデューサーとのミーディングを行い、その場所はオーストラリアの政府系映画行政機関Screen Australiaのオフィスであった。

各国から集った映画人が自国のブースを使うのは当然の常識である。

またフィルムマーケット参加者全員に配られるバッグには、パナマフィルムコミッションが自国の15%現金還元のインセンティブを宣伝した傘を提供していた。

この時期雨の多いカンヌで雨が降れば、この傘が会場に溢れることになる。

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こういったように海外の主要映画祭やマーケットでは、世界的にみても国家戦略としてプロダクション誘致が盛んに行なわれいる。

すなわち映画ロケ誘致とは国際舞台でこうした激しい国際競争の勝つ必要がある案件である。

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