文化庁長官宛、映画国際共同製作支援への陳情書 平成23年6月17日送付

一年前に送付した平成23年6月17日付け国際共同製作支援制度への陳情書の全文

文化庁長官  近藤誠一殿:

私は、以前長官の4月12日震災後のメッセージを拝見致しまして、日本で撮影している映画企画についてファックスをさせて頂いた経緯があります合同会社Ichigo Ichie Films LLCの増田と申します。この度、大変不しつけで大変ご迷惑とは存じておりますが、6月16日に御庁が発表された国際共同製作制度について施策の公示を拝見致しまして、国際共同製作映画製作の従事者の観点から問題提起をさせて頂き、この施策が未来にわたり展望し、日本の文化発信にとって必要な共同製作を誘致し、経済的および文化的公益に繋がればと思いご連絡させていただきました。

まず、本日御庁のメディア映像振興係にお電話、および市民の声の窓口へメールさせてもいただきましたが、今回の施策につきましては、過去この部分に支援のない日本の現状、資金調達の選択肢をはじめ撮影環境までが誘致を謳う諸外国と比べ整備が整っていない日本、諸外国が結んでいる映画製作協定がない日本の現状を前進させる画期的なものと感じております。また、現在中国、韓国の映像振興院などアジア諸国が共同製作についての政策を打ち出し、連日海外メディア報道を賑わす中、日本との共同製作の指針が世界に発信されるものだと期待しておりました。

しかし、今回応募概要を拝見致しました所、国際共同製作支援の該当企画が、現実的な映画製作意思決定の過程と照らし合わせてみますと、とても非現実的で、公益目標の妨げになっていると感じてなりません。また先日の上海国際映画祭では、アメリカ映画協会(MPAA)の会長が中国入りし、共同製作の在り方に言及したとの報道が海外メディアを賑わせています。また韓国映像振興院のメディア報道などされ、東アジアにおいての共同製作の国際競争力の観点からも、著しく日本は遅れをとっております、

詳細の問題点としては以下の通りです。

  •  公示方法および公示から締め切りまでの期間: 私が現在共同製作に携わっている企画の仏プロデューサーより、5月に出席したカンヌ国際映画祭でユニジャパンが今回の国際共同製作支援制度設立の発表を行なったと耳にしました。しかし今回の公示につきましては、特定の製作者に送られるユニジャパンのニュースレター、および御庁およびユニジャパンのホームページのみの公示となっております。本来、海外向けて、日本との共同製作の受け入れに政府の支援ができた旨を、諸外国同様に訴えかけなければいけません。今回の発表においては、日本を共同製作の相手国に選ぶ意思決定に伝わらず、非効果的なばかりか、国内のみの情報発信によりその機会拡大もチャンスも失われております。また公示が応募開始1週間前、締め切りが受付から2週間という極めて短期間で行なわれ、この条件をを満たす新規国際共同企画は存在し得ないように思えます。本来この施策によって誘因されるべきところは、ビジネスに至るか段階開発の意思決定の部分でなかればなりません。例えば告知から公募締め切りまでの3週間で資金調達、配給、公開期日の応募が見込む作品を海外と取り決めることは非現実的で、逆を言えば、この条件にあう既存の国内企画を限定とし非常に排他的に働いております。国際支援はごく一部の国内向け施策に留まっては、現在の日本の共同製作の現状を、国際競争力の激しい環境で前進させることは困難です。
  • また、今回の施策は映画製作の過程および多種多様に渡る国際企画の形態の把握、認識、理解が著しく欠如しております。今ある施策ですと「日本が5分の1以上出資、著作権を保持、日本人プロデューサーが上位にクレジットされて、クリエイティブ面にも参加し、日本と海外での劇場公開が決定している」との映画に限定されております。ただ、共同製作とは決して「共同作業」にあらず、映画製作においては色々な提携が存在します。今回の基準ですと「日本の行政の内部理論の都合」のみに適応する作品となってしまい、必ずしも本来共同製作を行なう海外プロダクションが求めるパートナーシップにおける利益を、相手国と共有できない現状にあります。これも未来の共同製作による公益の機会を奪ってしまいます。また日本との国際共同製作に重要なものは「企画開発の意思決定であり、それは時にビジネスとして成り立たないものが殆どです。この段階で現在の助成金の条件を満たすような新規案件は到底うまれあません。現行で応募できる作品が仮に存在するのであれば、それは既に製作が決定しているため、本来施策が促すべき新たな顧客獲得(共同製作国)には繋がりません。更に、日本との共同製作において、この段階で配給まで決定している可能性は非常にまれだと思います。日本との共同製作映画は、数億円規模など様々な予算規模がありますが、メジャー配給をもたない「インディペンデント映画」がその多くを占めることだと思います。その製作過程では、国際マーケットで売買され資金を調達するものや、配給会社への売買によって初めて公開が決定します。したがって現行のままでは、国際共同企画の多くの割合を占めるであろう「インディペンデント映画」がこの対象から外れ、排他的扱いになっています。これは制度の海外PRの観点から、非常に大きな機会損失を招いております。
  • 日本で撮影する外国映画(外資100%)の除外 現行の条件では、日本の出資が義務づけられているため、日本で撮影する外国映画などは助成の対象外となっております。もちろん外国の利益のために、日本が公費で支援をするのかとの疑問もあるかと思いますが、日本に数億円規模の映画プロダクションが誘致されることは、映画による経済効果、雇用捻出、税収と大きな公益を望めます。さらに、震災後や原発風評の日本にとって、海外が日本で映画を撮影し、発信する文化的公益も大きなものと感じております。人材育成の面からも、プロデューサーだけでなく、共同製作に必要なクルーやクリエイター、国際的に活躍できる日本人俳優が生まれることで,日本の共同製作に必要な総合力が養われ、未来の公益に繋がる施策になるのではと思います。また助成方法も、国内費用に対する還付という形をとれば、国内消費と公益を限定でき有効であると考えております。
  • 共同製作支援とプロデューサー育成の趣旨と海外が求める要素の実情 今回、ユニジャパンの公示の第一文に「公益財団法人ユニジャパンは、この度、我が国映画製作者の国際展開を支援推進するため、日本における国際共同製作の認定制度をスタートさせます」と謳っております。しかし、人材育成での公益確保が本来の目的であれば、今回の助成金の条件に限定するやり方では、前記の通りその機会すら作る事が非現実できで、本来の公益達成すら叶いません。そもそも国際共同製作の映画製作は、助成を受けたことであるプロデューサーがそのプロダクションの内で優位な地位を築けば叶うものでもなく、つまり一人の人間で映画はできるものでもありません。その国の人的、およびプロダクション資源、ロケーション資源など総合力で生まれてくるものです。本来の共同製作の公益は、産業の活性化および日本が映画分野での文化的発進力を高めるべきものです。残念ながら、今日の東京国際映画祭、ジャパンフィルムコミッションなど映画行政が成功を収めていないなか、今回の国際共同製作助成制度は未来への新しい指針を示すべきものだと考えております。決して特定の個人の育成の目的ではなく。

 また、海外映画製作事情におかれている日本の現状は非常に厳しいものだと理解しなければならないと思います。ファイナンス(資金調達)の選択肢も、海外と比べれば非常に限られております。日本での撮影に関しましては、手続きや国内で英語が使用できない言語環境、人件費を含む人件費でのディスアドバンテージ、ロケーションの許可の厳しさ、ましてや東京のロケ地での暴力団問題など、決して無理を聞いてくれない国ではなく、撮影に必要なものが整わない国との認識です。過去のハリウッド作品からも、代替地やゲリラ撮影を強いられ、日本での撮影を好ましくない声が広まっているのも事実です。また、現在撮影が行われているハリウッド版「47 RONIN」は、日本を舞台にしているにも関わらず、ハンガリー、イギリスでセットを組み製作が行なわれています。それだけ、日本での共同製作の価値を見いだせない現状でもあります。

今回の御庁の施策は、新しい日本の国の指針として、世界に訴えるべきものだと考えております。そのため、今回の施策での最大限の公益を計る為には、概要の変更および、将来、新たな施策を立案される場合、恐縮ではが御座いますが上記の問題提起を反映させて、震災後の文化発信がより求められる今こそ、映画共同製作がよりよい日本の文化発信へ繋がればと願っております。
 

長文につき、失礼致します。 何卒、御検討の程よろしくお願い申し上げます。 

平成23年6月17日

そして1年後経産省が発表したコメント

「国際共同製作や海外ロケ誘致等の実績は思うように上げられていないのが現状である」

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