ニューヨークタイムズ特集記事「C’est Magnifique」 

6月26日土曜日のニューヨークタイムズの記事に友人のアルフレッド・アルブリジオとアルブリジオ家が長年経営しているジュエリーショップ「C’est Magnifique」(セ・マニフィーク)が特集されていた。記事には1959年からニューヨークのグリニッジビレッジにある彼の店の歴史、創業者である彼の大叔父のファンジーことアルフォンゾと妻のジョセフィンと、そしてあるイアリングについて書かれていた。また、ニューヨークの街の移り変わりも伝えていた。

私とC’est Magnifiqueとの出会いは私がニューヨークに滞在していた時にさかのぼる。スカルリングが好きで当時からよくカスタムジュエリーをオーダーしていた。スカルリングにはメメントモリという意味があり、これはラテン語で「人は皆死ぬのだから、生きている一瞬を大切に生きろ」という意味がある。

今、一番愛用しているゴールドのスカルリングもアルフレッドにオーダーしたものである。このリングには少し思い入れがある。私がニューヨークに渡る前、アルバイト先のお客さんから純金の小判を一枚頂いた。金はは世界のどこへいっても価値のあるものだから、何か困った時の為に持っておいてと言って頂いたものだった。ニューヨークに8年滞在しているお守りとして持っていた、幸運にもこの金に助けられるような困難には遭遇せずに滞在を終えた。帰国後、一度挨拶をしようとこの方を訪ねると、私の渡米して2年後に亡くなっていたことがわかった。その為,これから海外に出る際にもいつも身に付けていられるようこの純金の小判をアルフレッドがデザインしたスカルリングにしてもらった。

彼らのジュエリーラインの一つの「フラッシュポイント」は日本のファッション雑誌にも取り上げられることが多い。ニューヨークにいた時、日本に帰国する際、日本で発売になる雑誌なども買ってあげたりした。父親のアルフレッド2世も典型的なイタリア系アメリカ人で、英語のアクセントや人柄も含め古きニューヨーカーを象徴するような人である。人情や人のつながりを大事にする様は、日本の古い下町の人情にも似ている。

アルフレッドには映画「ホテルチェルシー」においてもストーリーの鍵となる結婚指輪のデザインも担当してもらい、また映画にも少しだが出演してもらった。

(c) Hotel Chelsea Film Partners 2009:映画ホテルチェルシーより:アルフレッドデザインの結婚指輪

この店のクライアントにはマドンナ、プリンス、パールジャム、ジョニー・デップなどがいて、改装前にはファンジーとジョニーデップとの写真などが店中に貼られていた。現在は3代目にあたるアルフレッドが店を切り盛りしている。

ニューヨークタイムズの記事にもどるが、あるイアリングが取り上げられている。ラインストーンでできたシルバーのシャンデリアイアリングである。店のショーケースに飾られているのだが、売り物ではないらしい。私もこのやり取りを一度見た事がある。ある女性客が見せて欲しいと頼むと、アルフレッドが「これ売り物じゃないんだ」と言っていた。なぜ売り物じゃないかというと、これは先代の妻が大事にしていたものであるからである。世界を回ってアンティークのジュエリーを集めていたジョセフィンはフォンジーとの結婚式にこのイアリングをつけていたのだという。しかし、ジョセフィンは1981年に亡くなって、ファンジーはこのイアリングを店頭に飾り続けていつという。

しかし、ファンジーは1994年にこの店で客と口論となりナイフで刺され殺害されている。79歳だったという。ブロンクス生まれの先代は、昔歯科技工士として働いていて、その技術を生かしジュエリーを製作していた。とても親切に人柄で、貧しいホームレスに食事を与えたりしていたという。先代の事は知っていたが、殺害されていたことは知らなかった。その後店は父のアルフレッド2世とアルフレッドが現在店を経営している。もちろん、ファンジーの意思を引き継ぐため、今でもアルフレッドもこのイアリングを決して売らない。

映画を作っているが、やはり本当のドラマは人間の人生にあるとあためて思うような特集記事であった。

ただ新聞の最後にはこの店の将来を心配している声が紹介されている。ビルのオーナーが代わり、店の賃貸契約があと2年で切れると言う。私がニューヨークにいた際も、ニューヨークの象徴と言うべき古いベーカリーやデリが閉店になる話題を耳にした。私の映画の舞台になった、チェルシーホテルもオーナーが代わり、改装計画が持ち上がっていた。久々にニューヨークに戻ると、無くなっている店があることも少なくない。

時代の流れかもしれないが、華やかなニューヨークの影で数々の歴史のあるニューヨークが消えている現状もある。アルブリジオ家3世代引き継がれているC’est Magnifiqueはこれからもニューヨークにあり続けていて欲しい。

デザイナーのアルフレッド (ホテルチェルシーにも友情出演)写真:(c) Ashley Gilbertson for New York Times

ニューヨークタイムズ:New York Time Article: The Earings. Not for sale. Funzy Said So by SARAH MASLIN NIR

http://www.nytimes.com/2010/06/20/nyregion/20joint.html

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「ニューヨークタイムズ特集記事「C’est Magnifique」 」への1件のフィードバック

  1. 2010年11月に渡米して店に行ってきました。
    英語が出来ず単語で話しかけても嫌な顔をせずに
    分かりやすくゆっくり話してくれて何となく理解できました。
    また来ると約束をしたら「良い事、またおいで」と言ってくれました。
    いかついけど優しい笑顔にまた会いたいとおもいます。

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